新入社員研修成功の秘訣

3つのポイント

いくつかの事例のなかで、そこから新入社員研修の成功秘訣が見えてきたでしょうか。あらためて整理してみます。

新入社員研修成功ポイント1.新入社員研修のカリキュラムは絞り込む

2. 新入社員研修は他の社員を巻き込む

3. 新入社員研修は一回で終わらせない

この三つのポイントが、新入社員を辞めさせることなく戦力化するための秘訣なのです。

それでは、一つずつ見ていきむす。

新入社員研修のカリキュラムは絞り込む

新入社員研修にあれもこれもと盛り込む企業が多いですが、残念ながらほとんどの内容を新入社員は理解できていません。今まで学生だった新入社員が相応の緊張の中で挑む新入社員研修。多くのことを習得させようと思うこと自体に無理があります。

「どのような人材を育てたいか」という目標がキャリアパスとまではいかなくても、長期にわたる時系列で明確化されていれば、新入社員研修で行うべきカリキュラムはそれほど多くはならないはずです。

あれもこれもと欲張りになっている企業では、この育てたい人材イメージが不明確であることが多いです。

絞り込んだカリキュラムによって、この研修で何を学んで欲しいのかを明確にすることで、新入社員も自分が何をすれば良いのかが分かるようになります。

新入社員の意識を統一し、明確で具体的な方向性を示して導くのは、当然ながら新入社員の自主性に任せるべきものではありません。

会社がしっかりと提示するものだといえます。

だからこそ、新入社員研修は多額の費用を掛け、一大イベントして実施されているわけです。

肝心のカリキュラムについては、企業によって異なるものの、個人的には次の三つ程度で十分であると考えています。

① 自社の歴史や業務の説明

② ビジネスマナーの知識と実践

③ コミュニケーションの知識と実践

① 自社の歴史や業務の説明

自社の歴史や業務内容の説明はしっかりと行う必要があります。

新入社員は、入社段階では自分はこれから何をやるのかをよく分かっていないことがほとんどなのです。自分の頭の中で、勝手に業務内容や仕事をイメージしてしまっていることもあるかも知れません。

社長なり、相応の立場の人間が、新入社員の頭のなかに会社の「規範」を植え付ける作業は企業人としての規律を順守させるほか、しっかりと実際に行う業務を理想から現実へと橋渡しさせ、新入社員の頭の中を整理してあげる作業は必須なのです。

これは、新入社員のモチベーションを高めるためにも必要ないわば儀式です。

つまらない話や長い話を淡々と行うのではなく、メリハリの効いた説明が望まれます。社長や役員クラスにそのような注文を付けるのが難しい場合には、社長とは別の時間帯に先輩社員などに語らせるのも有用でしょう。

先輩社員には自分の新入社員の頃の話も織り交ぜてもうらうようにすれば、新入社員の懐に入り込みやすくなります。

② ビジネスマナーの知識と実践

社会人の礼儀となるビジネスマナーは盛り込む必要があります。

しかも、これは中途半端に行うものではなく、できれば徹底して行うことが重要です。新入社員はつい最近までは学生の身分であったことから、社会と言うものが分かっていません。

新入社員と言えども、現場に配属されればお客様からはプロとして見られ、会社を代表する顔になるわけです。

最低限のビジネスマナーは徹底して身に付けさせることが肝要でしょう。

外部の研修講師を招いて講義を行うのが基本です。先輩社員など内部講師がマナーの研修を行おうとすると、甘えが出ますし、自社特有ののマナーを指導してしまいます。

自社で培ってきた独自的なマナーは、現場に入ってからOJTで指導すれば十分ですので、まずは一般的かつ基本となるビジネスマナーを指導することが重要です。

新入社員であっても、外部の人間(ステークホルダー)と接する機会はすぐにやってきます。その時に、自社特有のマナーでは通用しない場合もある訳です。

一般的かつ基本的なマナーは、専門のマナー講師が徹底して指導し、自社内のマナーはその後に一定期間経過してから、先輩社員が指導するのが理想と言えるでしょう。

ビジネスマナーの指導は、徹底して厳しく行うことが肝であり、挨拶や礼儀、名刺交換など最低限のことは実際にロールプレイングを行って「やらせる」ことを重視していきます。

現場に出たことのない新入社員にとっては、いくら精神的なことを話したところで理解するのは困難です。

実際にやってみて、身体で覚えさせることで新入社員の意識ははじめて変わるものなのです。

③ コミュニケーションの知識と実践

コミュニケーション力を身に付けさせることもたいへん重要です。

最も重要なカリキュラムであると言ってもよいでしょう。

新入社員が辞めてしまう理由のほとんどが人間関係なのです。そのため、新入社員研修で人間関係を築くためのスキルであるコミュニケーション力を養う必要があるわけです。

コミュニケーション力は、理論と実践の両面から指導していきます。最近の新入社員に関して言えば、コミュニケーション能力に欠けているという指摘は事実でしょう。ですから工夫が必要で、ただグループ間で盛り上がって終了では、結局コミュニケーションの意味や必要性の本質を知らずに仲良しクラブを作るだけとなってしまいます。

そうではなく、コミュニケーションの理論をしっかりと指導することで、必要性と重要性を体系的に指導することができるのです。もちろん、

それを実際に体験してもらう場として、実践の場も織り込むようになります。つまり、理論と実践をしっかりと融合しないと、新入社員の頭にはしっかりと残らないということです。

ビジネスマナーにも共通することですが、外部の専門家がしっかりと理論的な根拠を示した上で、実践を挟み込むことが最も合理的な指導方法と言えます。

私の場合ならば、コミュニケーション検定のテキストに基づき、理論的背景を含めた知識指導を行い、その上で実際にコミュニケーションの重要性を新入社員全員に体験してもらうことが多くあります。例えば、目隠しをして「相手のことを言葉だけで知るゲームや、逆に「目だけで相手の感情を知るゲーム」など、コミュニケーションと言うのは、五感をフル活用することの重要性をあらためて認識させていくのです。

コミュニケーション力が身に付けば、挨拶もしっかりとできる人間になります。

そうすることで、先輩や上司との言語コミュニケーションが生まれ、それは五感を使ったコミュニケーションへと発展していきます。

 「挨拶こそ最大のコミュニケーションである」、そのようなことを実際に体験してもらいながら、厳しくもあり、そしてやさしく説くことができれば、新入社員がいきなり人間関係で躓くことも少なくなるはずです。

 第8話:②他の社員を巻き込む

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