なぜ新入社員がすぐに辞めてしまうのか【問題と原因】

問題よりも、原因を明らかにする

あなたの上司
  「新入社員が辞めて理由は、何か研修の方法でも変えたかね」

あなた
「いえ、特に毎年と同じ内容で行ったのですが・・・」

あなたの上司
「それではこちらの問題ではないな」

あなた
「そのように思います・・・」

せっかく入社した新入社員が辞めてしまう。

その理由を新入社員に求めるのは簡単なことです。

しかし、新入社員の価値観は過去と比べ、大きく変化しています。その変化に合わせることができるのは、変化に合わせなければならないのは新入社員ではなく、企業側なのです。

新入社員を辞めさせない新入社員が辞めてしまうというのは大きな問題なのですが、その理由はどこにあるのでしょうか?

あなたならどのような理由が思いつくでしょうか?

最近の若い奴は根性がないから仕方がない」というのであれば、根性がないことが辞めてしまう理由です。

しかし、これらの理由は、あくまで「企業側」の視点から導き出された理由であって、本質ではないのです。

企業は従業員から労働力を提供してもらい、その対価として賃金を支払います。

この関係は、企業側の方が圧倒的に強い力を持つと言われてきました。

ところが、現代では両者の関係は対等であるという考え方が一般的になりつつあります。以前のように、企業と社員の関係は搾取する側と咲く阿諛される側というものではないのです。

人手不足が常態化するコンビニや外食産業では、労働力の方が強いパワーを持つような光景も現実に見られます。

その是非は別にしても、労働者と使用者のパワーバランスが変化しつつあるのなら、労働者側の視点から「辞める理由」を考えなければ、即戦力となる人材を育成することはもちろん、いつまで経っても自社に優秀な人材を確保することは困難だということなのです。

新入社員の視点に立って辞める理由を知る

新入社員が辞める理由は何か?

その最大の理由は、ズバリ、「職場の人間関係」です。さまざまな統計のなかで、離職の原因の八〇%が人間関係にあると指摘されています。

人間関係とは何でしょうか。

それは、「コミュニケーション不足」のことです。

最近の新入社員は「すぐに仕事を嫌になって辞めてしまう」と言う企業の経営者や人事担当者は多いです。

しかしながら、「仕事を嫌になる」ということが、何を意味しているのかを本当に理解しているのかは疑問が残るところです。

まだまともに現場を経験していない新入社員が、仕事の内容や中身が嫌になって辞めるということはほとんどないはずです。これは、よく考えてみれば当たり前でしょう。新入社員は仕事を嫌になるほどまだ働いていないのですから。

企業という組織における仕事というものは、基本的に一人で完結するものではありません。自分と他の人が交わって、協働して、進めていくもの。

仕事の本質的な部分は、自分以外の他者との「コミュニケーション力」が肝になっているのです。

新入社員は、人間関係(コミュニケーション)を理由にして会社を辞めるケースが後を絶ちません。

しかし、新入社員は辞める理由を正直(正確)に言わないことが多く、自分自身でも人間関係が原因によるものと「気付いていない」ことも多いため、企業側でも事実を正確にキャッチすることができずにいるのです。

人間関係が上手く行っていないという、その「人間関係」とは社内の人間関係を指しています。そして、その大部分が上司や先輩との人間関係にあります。

上司(特に古株の上司に良く見られる)は、「新入社員は挨拶もまともにしない」「新入社員は根性がない」というように、新入社員に否定的な見解を持つ傾向にあります。その結果、新入社員に対して心理的な距離を置いてしまうのです。

中には、腫れ物に触れるかのように、お客様扱いをする上司まで存在しています。

これでは、新入社員と上司の間で心を通わせることは困難です。コミュニケーションで最も重要視される「信頼関係」がそこにはないからです。

新入社員を育てるのは会社全体なのですが、その中核に位置するのは上長です。上長の役割を担う者が、新入社員に対するコミュニケーションの仕方を知らないようであれば、新入社員はいつになっても「よそ者扱い」を受けている気分となり、職場が嫌になるでしょう。

職場が嫌になって辞めていく

仕事が嫌になるというのは、「職場が嫌になる」ということなのです。

これが、新入社員が辞めていく最大の理由です。

もちろん、上長と言う役割者だけに問題がある訳ではありません。先輩社員も同様でしょう。

先輩社員と言うのは、自分が育てられた状況や環境を部下や後輩に対しても真似をするものです。

新入社員育成研修などで、新入社員の育て方や新入社員との付き合い方などの知識を有している先輩社員であれば別ですが、残念ながらそのような研修を行っている企業はほとんどありません。

リーダー研修と呼ばれるタイトルの研修を行っている企業は多いですが、そこに新入社員や後輩に対する対応方法まではカリキュラム上含まれていません。内容的には、チームによる業務の進め方が多いようです。

先輩社員も新入社員との関係性を深める知識がないわけですから、自分が新入社員だった頃を思い出して、新入社員に接することになるわけです。自分が新入社員だった頃に先輩にしてもらったことを想起しながら、接することになるのです。

上長が放任主義で自分が放ったらかしに育てられてきた経験を持つ場合、新入社員に対して同じように接していくでしょう。

しかし、育ってきた環境も時代背景も異なる新入社員に対して、変化を無視した自らの経験のみに基づく関与では、むしろ辞めて欲しいということを暗に示しているかのように新入社員には映ってしまうこともあるでしょう。

残念ながら時代は変わったのです。

先輩社員の背中を見て、主体的に成長できる新入社員は稀有な存在であることを理解する必要があります。

先輩社員の関与に息苦しさを感じれば、新入社員は別のところに居場所を求めることになります。

日頃のストレスから解消されたい新入社員は、同僚・同僚とのコミュニケーションすらも避け、自分の旧来の友人に相談を行います。

そして、独身でそれほど金銭的負担のない新入社員は、何の迷いもなく自分を認めてくれる場所を探して、あなたの会社を去っていくのです。

新入社員ほど「承認欲求」が高いということです。

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