個人の研修講師(専門家)の特徴
特定の専門領域に対応
個人で企業向けの社員研修を請負っている研修講師が存在します。特定の専門領域を有し、その専門性に基づいた研修を行うのが大きな特徴となります。
通常は、幅広いジャンルをカバーしているということではなく、特定の領域に高度に専門化しているケースがほとんどです。従って、「新入社員研修」など、多くの講師が対応できるような内容ではなく、「経営戦略策定研修」や「ITスキル向上研修」というように、上手く自分の専門分野を訴求することによって、差別化を行っているのです。
専門性のバックボーンには、長年の実務経験が裏付けられていることが多く、その意味で実践的な研修プログラムを提供することもあって、研修を受講する社員に対しても納得性と説得性の高い内容を提供しやすくなります。
その道のプロという講師が多く、独立して講師業を営んでいるくらいですから、知識と技術の両面においてプロフェッショナルとしての水準にあり、レベルは高いといえます。
その道のプロフェッショナル
個人で活躍する研修講師は、基本的には人気講師と言って良いでしょう。
自分の名前で指名を受け、研修事業を請負うというのは、相当な力(ブランド力やネームバリュー)がないとできません。まさに、その道のプロフェッショナルだといえます。
テレビに出るような人気の社員研修講師も多く、独特なプログラムやカリキュラムにより研修を進めていく点に特徴があります。他の人には真似のできないような特徴ある研修を行う人も多く、カリスマ的な存在感を打ち出している人も少なくありません。
講師の特徴を踏まえた属人的な研修内容が中心となり、他の講師には真似ができない、その人でなければ成立しないというような特殊な研修になることも少なくありません。
人気の研修講師になると、スケジュールを確保することができず、中には半年程度待たされる場合もあります。そのため、緊急性のある研修には向いていません。また、実施企業からのリピート依頼が高いのも特徴的で、一度依頼すると継続して毎年のように依頼を行う傾向が見られます。
研修価格・費用については完全に「言い値の世界」です。
基本料金等を明示している講師も存在しますが、企業ごとに研修内容をアレンジ・カスタマイズすることが前提になっていることから、最低価格が明示されているものの、打ち合わせを重ねるなかで最終的には高額な費用になることも珍しくありません。
個人講師に依頼する場合には、費用的なものよりも「あの先生に是非お願いしたい」というケースが多いと思います。従って、価格は二の次でまずはスケジュールを押さえておく、ということも普通に行われています。
もちろん、個人講師の研修価格が高いのは講師が暴利を貪っているということではなく、組織的に研修教材を作成するということではなく、個人が一人で打合せなどの営業行為に加え、カリキュラムの開発から教材作成まで行うことから、それだけ人件費が掛かるわけです。
逆に、人気のない個人講師の場合には、極端に安い研修価格でも引き受けてもらえることがあります。具体的には、独立したての研修講師は目先の収入よりも実績を作りたいため、安く受注することがありますし、定年を迎えて研修講師を行っているシニア層は、社会的貢献活動として取り組んでいることも多いため、収入にはこだわりがないケースもあります。
一般的には人気の度合いで価格は決まってくるということになりますので、ある意味で分かりやすいという側面もあります。
注意が必要なのは、必ずしも価格のバラつきが質のバラつきと一致しているとはいえず、特に、自社の特徴と併せて考えた場合には余計に慎重になる必要があります。というのも、いくら人気があって実力がある講師でも、「自社の社風」に合わないようでは、研修効果を最大にすることはできません。
例えば、自社が関東にある会社の場合には、有名な講師であっても、その講師が関西弁を操るような場合にはあまりマッチしない可能性が高いです。言葉に違和感を感じながら受講する研修は、従業員にとってストレスでしかないからです。