新入社員を辞めさせずに戦力化する方法とは
はじめに
空前の売り手市場と言われる就職戦線、それでも学生は少しでも良い企業を求め、就活に余念がありません。インターネットの普及により就職のプロセスは変貌し、終活生は有り余る情報のなかで就職先を見つけ出しているのです。
売り手市場だからといって、決して楽して内定を手に入れているわけではないのです。
しかしながら、苦労して就職した会社をいとも簡単に辞めてしまう人が後を絶たない、という現実があります。
売り手市場といっても、厳しい就職・転職戦線を勝ち抜いた人たちが、一年もしないうちに会社を去っていってしまう。
これは、会社にとって大きな損失です。
労働市場において、売り手市場にある時は、特に企業側の採用コストを増大させます。企業からすれば、たいへんな労力をかけ、ようやく来てくれた社員なのです。
にも関わらず、社員が会社を辞めてしまう・・・。
これはたいへんもったいない話なのですが、現実に非常に多く見られる現象なのです。
企業側の損失はもちろん、労働者にとっても大きな損失になるわけですから。結果として、社会的に大きな損失となっているわけです。
これらの現象を、「最近の新入社員は(中途採用社員は)・・・」で片付けてしまうのは簡単です。ところが、新入社員の考え方や価値観は年々変わっていくもの。
企業は、環境変化に俊敏な対応ができなければ、生き残るのは難しい時代になりました。
環境は自分たちで変えられるものではありません。
だとしたら、変わり行く環境に企業や自分たちを合わせるのが今の経営のあり方だと言えます。その意味では、人材育成も同じであると考えることができるわけです。
つまり、新入社員や中途入社社員が変わったのならば、我々も変わらなければなりません。
ここでは、新入社員がなぜ辞めてしまうのか、その原因を紐解きながら、新入社員を優秀な人財として自社の発展に寄与してもらうように育成する方法を見ていきます。
もちろん、ここに書いてある内容は決して難しいものではありません。
難しいのは、どちらかと言えば、あなたの考え方を変えることができるかどうかだけです。
要点を押さえるための構成
できるだけ簡潔に要点を押さえることができるように、文章の構成を次のようにしました。
まずは、現状をしっかり押さえます。
そして、あるべき姿(理想の姿)をイメージし、現状とあるべき姿のギャップである問題を導き出します。
さらに、その問題となっている原因は何かを炙り出し、課題へとつなげ、その課題を達成するための方法が結論となります。
この考え方は、問題解決のアプローチ方法に則っています。
新入社員や中途入社社員が企業側の意図とは異なり、すぐに辞めてしまうのは大きな問題です。そのため、問題解決のアプローチを採ることによって、新入社員を人財として戦力化することの方法論を導き出すことにしたわけです。
これは、机上の空論ではありません。
実際に研修を行う現場から、現在起こっている事実を積み上げて体系立てたものです。
社員の意見と企業側の意見を客観的な立場から、第三者的な視点で把握できるのは、我々のような研修を生業にする外部の人間だけでしょう。
その意味で、ここに書いたことは、第一線からの現場視点に立った問題解決の方法と言えるはずです。