目標を設定する
研修コストを投資、財産へと転換する
社員研修には、しっかりとした目標設定が必要なのです。
これをせずに研修の成果が上がらないとしても、それは社員の責任ではありません。経営陣や人事担当者、すなわち会社全体の責任なのです。
人間は、目標がなければ何をするにしても意欲を持って取り組むことはできません。
しっかりとした目標を定め、それに向かって社員研修を行うからこそ、しっかりとした成果を上げることができるのです。
目標設定の方法にはいろいろな方法があります。
例えば、営業研修を実施して、その後に営業強化月間として売上目標を通常より上乗せして設定します。
こうすれば、成果の検証をしっかりと行うことができるようになります。また、簿記検定やマナー検定など資格取得を目標として、新入社員研修を行う方法もあります。こうすることで、資格取得という目に見える成果を残すことが可能となるのです。
当たり前であるはずの目標設定ができていない企業が本当に多いのには、業界で働く人間としていつも驚かせられます。
あなたの会社は大丈夫でしょうか?
まずは、何のために社員研修を行うのかを明確にして、研修で得たい目標をしっかりと設定するところから始める必要があります。
成功する社員研修は、ここが出発点なのです。
効果を引き上げた事例
目標設定により社員研修の効果を引き上げた企業の事例を紹介します。
企業名は紹介できませんが、大手の服飾販売店での研修事例。
この企業は、店舗を全国に拡大しており、販売員の育成が急務でした。同時に、新入社員から中途採用社員まで様々な人材が混在し、販売に関する知識やスキルにバラつきが生じていました。
そこで、販売員研修の実施をする運びとなったが、何らかの目標を設定しないと意味がありません。そこで、販売士検定(リテールマーケティング検定)の資格取得を目指した販売力強化研修を行いました。
販売士検定の学習内容には、販売員に必要なスキルが網羅されています。
とはいえ、単なる資格取得で終わってしまっても意味がありませんので、販売士の試験対策に加えて、現場で生じている問題などを調査し、社員が明日から現場で使える内容も研修内容に盛り込むこととしました。
その結果、社員間でバラつきが見られた販売員としての知識およびスキルは平準化され、売上増加に大きく寄与しました。
また、販売士検定に向けて、社内で自主的な学習グループが立ち上げられ、士気が向上。
メーリングリストでは勉強に関する質問が日々やりとりされ、その様子は人事担当者もリアルタイムで把握することができました。販売士検定の本試験には多くの社員が受験し、多数の社員が見事合格を勝ち取ることになりました。
この事例では、特に現場の女性が率先して行動に起こし、古参の男性社員をリードしながら全体に良い影響力をもたらしているのが印象的でした。
女性のパワーはホント凄いです。
現在では、上位級の合格を目指して学習を続ける社員も増え、社内の活性化に一役かっています。
販売士合格という見える成果を手に入れた社員は、自信を持って現場でお客様の接客にあたっています。
この研修を我々と一緒に企画した人事担当者は、大きな成果を上司に報告することができました。まさに、研修のコストを投資、そして人財という財産へと転換できた事例であるといえるでしょう。